任天堂Wiiの間「修理魅せます~ジュエリー編」にて、アダンとアトリエが紹介されました

代表の藤森です。

アダンADAM店頭とアトリエにて撮影を行った、任天堂のゲーム機Wiiを使って視聴できるインタラクティブTV「Wiiの間」の中のドキュメンタリーシリーズ番組「修理魅せます」 のジュエリー編の放映が先日より開始されました。


撮影は、遡ること7ヶ月前。東日本大震災の前後に行いました。
撮影の様子は、こちらの記事をご覧下さい。

撮影の様子 その1 修理ご依頼の接客シーン
撮影の様子 その2 修理作業シーン①「サイズ直し」
撮影の様子 その3 修理作業シーン②「石留め」
撮影の様子 その4 「出来上がり」


↑ 撮影は2011年3月、4月にを行いました。

残念ながらWiiを持っていて、しかもそれがネットに繋がっていないと見られない番組なのですが、さすがは任天堂さん、番組制作には予算をかけていて、制作は「情熱大陸」や「世界ふしぎ発見」など、ドキュメンタリー番組制作で有名なテレビマンユニオン社、ナレーションは石坂浩二という豪華なスタッフ陣。

そして修理依頼人のカップルも、こういった番組でありがちな、スタッフやモデルが演じるいわゆる”仕込み”のお客様ではなく、ちゃんと公募を行って選ばれた本当のお客様、という本格的な撮影でした。

番組は10分程度ですが、放映の内容を簡単にキャプション画像でご紹介します!

はじまりはじまり~。

今回の修理依頼人は~(と、石坂浩二の渋い声で始まります)、カナダ人の旦那様と日本人の女性のカップル。
旦那様が曾祖母から譲られた指輪を修理して、結婚する奥様に婚約指輪として渡したいというご依頼でした。

修理を担当するのは、当店一の凄腕クラフトマン、新藤研二です。

お預かりする指輪は、ひいおばあさまが、亡くなるときまでずっと大切に身に着けていたもの。指輪は、亡くなった時指から外す為に切断されてしまっています。

指輪には、7人の子どもたちの誕生石が入っていたが、一番端の2月生まれのアメジストの石が外れてしまっています。

今回の修理は、石を留めている石座ごと外れてしまってなくなってしまったアメジストを新たに石留めし、切断されたリングを繋ぎ合わせるという内容です。

まずは、石を留める石座の爪となる材料作りから。
70年前に作られたという指輪には、貴金属の種類を示す刻印がなく、切断面の色あいや表面の状態から、おそらく14金ゴールドであると推測して、地金作りから始めます。

金に、銅、銀、亜鉛などを加えて溶解し、ゴールド地金の塊を作ります。

貴金属地金は、1000度近くで溶解し始めます。
溶けた地金が良く混ざり合うように、手前から奥へ向かって火を当て、地金を攪拌させます。

そして、型へ一気に流し込みます。
火からはずすと一瞬で固まるので、きれいに型に流し込むのはまさに職人技です。

その塊を、今度はローラーで伸ばして行きます。爪に使う線は凡そ0.8mmの太さ。ローラーで伸ばし、地金が硬くなったら、焼きなましてやわらかくする、という作業を何度も繰り返し、細い線を作っていきます。

ローラーで細くした線を最後は線引き板で、綺麗な細い丸線に仕上げます。

爪の材料となる線が出来上がったら、今度はレーザー溶接機で、リングに爪を立てていきます

通常は、火を使って爪をロウ付けしますが、今回は石が付いた指輪で、石のすぐそばに爪を溶接しなければならないので、火を使うことが出来ない為、レーザー溶接機で作業。レーザーは温度は上がらないけど、誤って他の石に当たったら簡単に割れてしまいます。
神経を張り詰めて1時間ほどの作業。掛けてようやく4本の爪を取り付けました。

次は、切断された腕の修理。彼女の指のサイズに合わせ、本来のリングサイズより少し小さくしながら腕をつなぎ直します。

腕は力の掛かる部分で、レーザー溶接機ではしっかりと溶接が出来ないため、火を使って溶接します。
修理する箇所が石座と反対側なので、直接火は当たらないのですが、金地金は熱伝導が良いので、石に熱が加わると痛めてしまいます。

そこで、石座全体を濡れたティッシュで包んで作業します。
濡らしたティッシュは、ジュウジュウ音を立てて蒸発しますが、完全に乾ききらなければ、その部分は100度以上にはならないので、石が熱から守られます。

ロウ付けは一回勝負。作業する新藤も、撮影するカメラマンも集中して緊張感たっぷりでした。

無事、ロウ付け成功!
つながった腕の部分を磨いて仕上げます。

いよいよ、最後の作業、アメジストの石留めです
レーザーで溶接した4本の爪で、アメジストを留めていきます。
まずは石座作り。アメジストの形にあわせ爪を削り、石が思い通りの高さでぴったりと収まるように調整します。

そして、鏨(たがね)を使って、少しずつ爪を倒していきます。石に傾きが出たり、かかる力のバランスが崩れないように、対角線上の爪同士に同じだけ力がかかるようにします。

無事、アメジストがきれいに石留めされました!

最後にリング全体を仕上直し、その他の石をきれいに洗浄して、いよいよ修理が完成です。

出来上がった、リングがこちらです!

切断されていたリングは無事きれいにつながり、アメジストが入り7つの誕生石が元通りに並びました。

出来上がったリングをいよいよお二人にお渡しします。
ケースを開けるのをお互いに譲り合う微笑ましいお二人。

まずは出来上がったリングを見て、歓声を上げる彼女。

いよいよ、彼がひいおばあさまのリングを彼女の指に通します。サイズもぴったりでした!

元通りになり彼女がはめたリングを見て彼が一言。
「まるでタイムマシンみたいですね」

なんて素敵な感想をありがとうございます!

撮影用にわざわざ準備されたものではなく、非常に貴重なリングの難しい修理だったので、撮影を抜きにして無事修理できるか、新藤をはじめスタッフ一同かなり心配でしたが、無事修理が出来上がり、そしてお二人にも喜んで頂き、大震災をはさんで2ヶ月間にわたった撮影の苦労も吹き飛びました。

このような貴重なチャンスを頂いた任天堂さま、撮影・製作をされたテレビマンユニオンの皆様、そして我々に貴重な指輪を修理を任せていただいたお二人に、心から感謝いたいます!

 

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