代表の藤森です。
お店の業務とは無関係に(たまには業務といいながら)、隙を見てはフラフラと彷徨っています。
今回は、京都の相国寺で、昨日6/3まで行われていた特別展、「若冲展 ~釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会~」に行ってきました。
ここ1ヶ月あまり、虎視眈々と京都行きを狙っていたにも拘らず、なかなかお店を空けることが出来ずに諦めかけていた展覧会最終日の前日の土曜日の夜、日帰りを決意して、早起き厳禁?!のグータラな体をたたき起こし、朝6時に三軒茶屋を出て京都へむかいました。
昨年上野で開かれたプライスコレクションの若冲展をあれよあれよと見逃してしまったが為に、何とか見ておきたい、そして京都で美味しいモノを食べたい、との思いで、早朝に東京を飛び出し9時にはもう京都駅到着。
まっすぐに相国寺へ。10時開館に間に合ったとおもいきや、既にものすごい長蛇の列。少し覚悟はしていたけど、列の最後尾に付き、本を読みながら待つことなんと2時間。キャプテンEO以来の待ち時間に少し足元がクラリと来たけど、漸く正午頃、館内へ入場しました。
館内は、2つの展示室に分かれていて、まず第一展示室が、若冲のごく初期の作品と、鹿苑寺を飾っていた水墨画の襖絵の連作が展示されていた。
「葡萄図襖絵」
どんどん塗り重ねていく足し算の油絵と違い、潔くかつ繊細に描かれた若冲の水墨画は、細い墨の濃淡で切り取られた白地の存在感が当に引き算の美学で、色々と見渡す必要もなく、とても心地のよい気分に。
第一展示室を出ると、また行列。入場制限により、牛歩状態で待たされ、漸くメインの第二展示室へ。
元々若冲が生前に相国寺に寄進した釈迦三尊像の3作(現在も相国寺が所有、展示)と動植綵絵全30作(維新後皇室に献上、現在宮内庁所有)が、120年ぶりに33作一同に展示されると言う大きな企画。この展示室自体が、20年前にいつの将来かに、33作を展示するためにあらかじめ設計し建築したと言うかなりの気合の入った企画展なのだが、いざその展示室に足を踏み入れる。中は満員電車のような混雑。でも、全面に広がる景色はまさに壮観。
雄鶏や鳳凰、昆虫や両生類、魚、蛸、鳥、そして様々な季節と植物をモチーフ。とても自然への愛着を感じ、また明快な線で自由に描かれた動物たちは、見ていて単純に楽しくワクワクする感じ。灰茶色(光沢のない金色?)の下地に描かれると、赤と緑と言う若冲らしい補色の強い対比だけでなく、わずかな青色やそして何より白色がとても効果的に目に入ってくる。
絵画と言うより、グラフィック作品。当にポスター向きでポップ。江戸中期のセンスが、特別な仕掛けや注釈を不要に現代のニーズに見事にリンクしたと言う感じ。なので若冲ブームが一段落し、ミーハーによる誇大評価と揶揄されはじめているのも、むしろ非常に納得がいくくらい。
会場を出たのは結局午後二時。
狙っていたランチスポットも、既にランチタイムは終了。時間の節約もかねて、出町柳の学生街にて昼食。
そのまま、京阪電車に乗って洛南、深草駅へ。
向かうのは、伏見稲荷の脇の山にある、石峰寺。ここは、若冲が晩年を過ごした寺で、若冲がデザインし発注製作したという、釈迦の一生を表した石仏群「五百羅漢」があると言うことで、短い日帰り観光の後半の目的地に。
石峰寺五百羅漢についての詳しい解説が載っているサイト↓
http://www1.kcn.ne.jp/~yosikatu/rakan5.htm
石峰地の門。ちょっと中国風のオリエンタルな意匠が景色にアンバランスでいい塩梅。
石仏。釈迦誕生から涅槃までがストーリ仕立てで500体ほど山の中に並んでいる。
澁澤龍彦の古寺巡礼と言う紀行本が訪れたきっかけだったのだけれど、森の中の石仏たちは、とても優しくフレンドリーでちょっとテーマパークのような感覚。
石峰寺をあとにして、京都郊外ののんびりとした路地をフラフラと散歩。どこまでも赤い鳥居が続く景観で有名なお稲荷さんの総本山、伏見稲荷の中腹へたどり着く。
しばらく鳥居をくぐりながら山を登り、数奇屋風の御茶屋でビールと蕨餅で休憩。
時間を見るともう5時。帰りの新幹線は8時発。
京阪電車で四条に戻り、鴨川を渡り先斗町へ。
フラフラと美味しそうで高くなさそうな、割烹風の居酒屋へ。
まだ時間も早いので客は少なく、ゆっくりと美味しい料理を食べながら冷酒を2合。
板さんに、日帰りで京都はもったいない、と散々言われる。
最後に湯葉のおかゆに黒七味をかけて食べたところでタイムアップ。
あわてて京都駅へ。
デザートを食べられなかったので、駅の伊勢丹でマールブランシュのケーキを買いこみ、
あわてて新幹線に。
ほろ酔い加減ですぐに爆睡。あっと言う間に品川。
11時には帰宅。マールブランシュの鳴門金時モンブランを食べ、
買って来た展覧会の画集を眺めながら寝る。
満足。いい一日でした。
日帰り京都は、確かに交通費が考えたくないくらい高いのだけれど、
夜泊まることを考えなくていいから、荷物もいらないしホントに気楽。
次回は、日帰り桂離宮をこっそりと計画中です。