昨日、ずっと気になっていた「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘宝~」
を見てきました。
ポスターを見かけたときに、
「黄金」「アフガニスタン」どちらの言葉にも惹きつけられて、
熱い想いを胸に近々行こうと思っていたのです。
ジュエリーに携わるものとして、古来の金の装飾品に興味があった「黄金」という切り口から
混乱状態が続いていて訪れることのできない「アフガニスタン」を垣間見れる
というわたしにとって一度に二度美味しい展覧内容でした。
本来なら何事も内容をお伝えする上で一番有効なのが写真なのですが、
館内は撮影が許可されていないので記憶にとどめるだけになってしまいました。
本展覧会では、紀元前2100年ごろから紀元後3世紀頃までに古代のアフガニスタンで栄えた文化を、4つの遺跡から出土した名宝によって紹介されています。
その頃日本はというと、縄文時代~古墳時代。そんなところでしょうか。
大陸から稲作や金属器が伝わりつつあったとはいえ、
完全に独立した島国の単民族国家として独自の文化をゆっくりと育てていった日本と比べて、
南アジアと中央アジアの狭間に位置するアフガニスタンは、古くから「文明の十字路」といわれるようにさまざまな地域から人々が集まり、多彩な文化が華開いた地域として知られています。
古代ギリシャ文化とイスラム文化、そして仏教の3つが入り混じり
独特の文化を築いたこの地域ならではの、珍しくも輝かしい作品が数多く見ることができました。
それらがわれわれが見ることができるのも、「鍵の番人」と呼ばれる博物館員が
1979年のソ連の軍事介入とそれに続く内戦などの影響で混乱の渦中にある中、
国家の宝を守る為に秘密の場所に移動させその場所を14年間もの歳月誰に明かすこともなく過ごしたというドラマを知りさらに感動しました。
古来から受け継がれてきた芸術品を来世に伝えるには「形あるものは壊れる」というように、
年月が経つだけで物の保存は難しいと思います。
ましてや、「戦火を潜り抜ける」という苦難を乗り越えるということが、いかに困難であったかが計り知れません。
第1~4章までは、時代別に構成されていて、
第5章は日本で修復保管されていた「流出文化財」の特集で締めくくっていました。
中でも目を奪われたのは
第三章サカ・パルティア時代のティリヤ・テペ。
地元の言葉で「金の丘」を意味するらしく、その名にふさわしい数々の金の装飾品が出土されました。
詳細はなぞに包まれていますが、遊牧民族の有力者の墓であったと推測されており、
女性5人、男性1人の身につけていたであろう装身具、衣服にちりばめられた装飾品を
見ることができました。
金だけでなく、トルコ石がふんだんに使われていて、
滑らかなハートの形のトルコ石のカッティング技術に目を奪われたと同時に、
今も変わらず輝き続ける金の美しさにため息がでました。
【百聞は一見にしかず】
6月19日までやっておりますので、
ご興味があれば是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
会期:2016年4月12日-06月19日
開館時間:午前9時30分-午後5時(土日祝は午後6時まで、金曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
会場:東京国立博物館 表慶館
お問い合わせ:03-5777-8600