ダブルカボッションのハートシェイプカット

オーナーの藤森です。
今日は、ひなまつりですが、3月に入ったのに、足元から冷える寒い日が続きますね・・。
さて、先日、アメリカ・ツーソンでの仕入れで、ドイツの業者による研磨の石もいくつか手に入れてきたのですが、
その中に、ダブルカボッション(両面が膨らんだカット)のハートシェイプの石があります。


左上から時計回りに、トルコ石、グリーンアメジスト、オレンジトルマリン、イエロートルマリン、インカローズ

両面カボッションの石自体それほど多くないのですが、
ハートシェイプとなるとより限られていて、
さらにハートの先端が少し横に流れて、左右非対称にカットされている石は、
今のところドイツの業者のカットでしか見たことがありません。
技術的にも難しい上に、カットによるロスも多いと思われるので、
半貴石とはいえ、いいお値段がします。

この度、九州のお客様からそのカットご指定のお問い合わせがあり、
在庫があるものを写真に撮って、メールでのやり取りで選んで頂き、お買い上げいただきました。


お選びいただいたのは、ペンダントに仕上げてある上の二つのうち、
ピンク色の石のインカローズ(ロードクロサイト)です。

こちらは、何年か前にドイツで仕入れたもので、石自体、口に入れて食べてしまいたくなるくらい、
美味しそうな石で、その出会いにも思い入れがありますが、
ペンダントにするのにとても苦労したアイテムです。

横から見ていただくと解りますが、両面が膨らんだ石なので、石座に留めるのが大変で、
石を石座の後ろからいれ、曲がり易く、石留めのあと引っ掛かりがないように丸線で爪を作り、
押さえ込んでいる構造になっていて、表からも裏からも石が綺麗に見えるように考慮しています。

上のインカローズは、石に孔を開けずにペンダントに仕上げましたが、
以前制作した、こちらのスモーキークオーツのペンダントは、
石の上部に孔を開けチェーンを通すバチカン部分を取り付けました。
透明な石なので、孔が外から見て目立つかなと思いましたが、
両面カボッションの表面が、複雑な今日局面を持つので光が乱反射し、
ほとんど孔を開けたことがわからない仕上げになっています。

石だけでも、とても綺麗なダブルカボッションの半貴石シリーズですが、
制作する上でも色々と試行錯誤が出来て楽しいです。

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